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「私のこと…怖くないの…?」
メアリーはそう質問すると、イヴは迷わず
「怖くないよ」
と答えた。それを聞いた瞬間、手からするりとパレットナイフが落ちた。メアリーの目から涙が溢れ出す。
「あの時は逃げてごめんね。さあ、行こうメアリー。三人で出る方法がきっとあるわよ」
「ギャリー…」
根拠はないがギャリーは三人で出れると信じてメアリーを励ました。二人の優しさにメアリーは泣き崩れた。今までずっと我慢していたのか、メアリーの周りにはまるで雨が降ったかのように濡れていく。
「メアリー」
イヴはハンカチを差し出した。イヴが大切にしているレースのハンカチだ。
「いいの…?」
「うん」
メアリーの顔は涙で濡れていた。イヴのハンカチを受け取ると
「ありがとう…」
二人に、誰にも見せたことがなかった笑顔で感謝した。
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