前編

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「ギャリー……」 目の前に【絵空事の世界】がある。さっきまで薄暗かった通路はいつの間にか明るくなっていた。 「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」 イヴは近くにいたおじいさんに話しかけられた。イヴの周りには人がいる。動いていたゲルテナの作品達も元の展示品に戻っていた。 「そうか…私、戻ってこれたんだ…」 でもイヴは気になったことがあった。メアリーがいない。先にこの世界に行ったはずなのに…。 イヴは不安な気持ちでいっぱいになる。 「お嬢ちゃん、もしかして迷子かい?」 「あっ、いえ違います。ただ、ちょっと考え事をしていただけです」 イヴはとっさに思い付いた適当な嘘を言って、走り出した。 「ああ…お嬢ちゃん…!」 おじいさんはイヴを呼び止めようとするが、イヴにその声は届かない。
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