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「ギャリー……」
目の前に【絵空事の世界】がある。さっきまで薄暗かった通路はいつの間にか明るくなっていた。
「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」
イヴは近くにいたおじいさんに話しかけられた。イヴの周りには人がいる。動いていたゲルテナの作品達も元の展示品に戻っていた。
「そうか…私、戻ってこれたんだ…」
でもイヴは気になったことがあった。メアリーがいない。先にこの世界に行ったはずなのに…。
イヴは不安な気持ちでいっぱいになる。
「お嬢ちゃん、もしかして迷子かい?」
「あっ、いえ違います。ただ、ちょっと考え事をしていただけです」
イヴはとっさに思い付いた適当な嘘を言って、走り出した。
「ああ…お嬢ちゃん…!」
おじいさんはイヴを呼び止めようとするが、イヴにその声は届かない。
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