168人が本棚に入れています
本棚に追加
「それが………あなたなのね、メアリー」
ギャリーがそう言うと、メアリーは小さく頷いた。
「うん……。そうだよ、これは私よ…」
メアリーはゆっくり立ち上がると、その立派な額縁に触れる。そこには何もない。シルクパズルのように真っ白だ。
真っ白なのは当たり前だった。なぜなら、ゲルテナの最後の作品『メアリー』は二人の前にいるのだから。
「私はね、ずっと外の世界に行くことが夢だったの。でも私が外の世界に行くためには、誰かがここに残らないといけない……。私は…友達が欲しかった……」
メアリーは語り始める。それは彼女の心の中の叫びだった。
「私は…ギャリーを……ギャリーを……殺そうとした…」
声が震えている。メアリーは泣いていた。涙を流しながらギャリーを見詰めていた。
「でもできなかった!。いつもイヴばっかり構っているギャリーなんか大嫌いだと思っていたのに………!」
「メアリー…あんた…」
「でも違った…。私、気づいたの…これはただの嫉妬だって……本当はもっと構って欲しかったって…。バカだよね…私…危うく大好きな人を殺すところだった…」
最初のコメントを投稿しよう!