前編

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「それが………あなたなのね、メアリー」 ギャリーがそう言うと、メアリーは小さく頷いた。 「うん……。そうだよ、これは私よ…」 メアリーはゆっくり立ち上がると、その立派な額縁に触れる。そこには何もない。シルクパズルのように真っ白だ。 真っ白なのは当たり前だった。なぜなら、ゲルテナの最後の作品『メアリー』は二人の前にいるのだから。 「私はね、ずっと外の世界に行くことが夢だったの。でも私が外の世界に行くためには、誰かがここに残らないといけない……。私は…友達が欲しかった……」 メアリーは語り始める。それは彼女の心の中の叫びだった。 「私は…ギャリーを……ギャリーを……殺そうとした…」 声が震えている。メアリーは泣いていた。涙を流しながらギャリーを見詰めていた。 「でもできなかった!。いつもイヴばっかり構っているギャリーなんか大嫌いだと思っていたのに………!」 「メアリー…あんた…」 「でも違った…。私、気づいたの…これはただの嫉妬だって……本当はもっと構って欲しかったって…。バカだよね…私…危うく大好きな人を殺すところだった…」
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