3人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、また明日」
そういってマリナは部屋に籠ってしまった。
見た目はきれいな割に高飛車でそうだと思ったらさみしそうな態度をとるし、
自己中心的だし全く意味の分からない女だ。
「さて、出かけるか」
多少の疲れはあるが色々と見に行く機会があるのであれば行くに越したことはない。
女子寮うろついていいなんてちょっと嬉しかったりする。
階段を下りて3階に行くとさっきの女の子2人組のうち一人がいた。
ふわふわとした内巻きの茶髪で、おっとりしたような見た目だ。
「あ…!」
怯えたような表情で俺を見ている。
第一貴族の召喚獣様だからって訳かな。
「なあ、ちょっといいか?」
どうしよう話しかけられた!と言わんばかりの態度だ。
「はい…」
「そんなに怯えないでほしいな」
そういいながら苦笑いをうかべてしまう。
「う、うん。あの…あなたはマリナ様の召喚獣、ですよね?」
召喚獣と面と向かって他人にそういわれると地味に傷つく。
「そうだよ。あのさこの学園について色々知りたいんだけど教えてくれるかな?」
できるだけ人当たりのよさそうな笑みを浮かべてみた。
女の子はすこし緊張がとれたのか、怯えたような表情は消えていく。
「なにが知りたいんですか?」
「そう…だね、とりあえずこの学園に俺みたいな人型の召喚獣ってどれくらいいる?」
「えっと、人間タイプでしたら10人に満たない程度で、あとは獣人と吸血鬼などが30ちょいくらいです」
「そうなんだ…」
やはり人間を召喚するのは難しいようだ。
つまり、地球に帰ることも難しいと考えて間違いはなさそうだな。
「あの…質問、いいですか?」
「ん?あぁ、いいよ」
「やっぱり、魔法でなにか出したりってできます?」
「できるけど…」
やり方が分からないなんて言えないよな…
先刻ギーブルと強制的に戦わされたとき、あれは俺の意思ではなかった。
なにか別のものが俺を支配していて、銃を具現化させたのもその別のナニカだった。
今、俺の意識で動いているときに、魔法をつかえなんて言われてもまったく使い方が分からない。
「大丈夫…ですか?」
よほど深刻な顔をしていたのか、そういわれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!