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「大丈夫じゃない、かも」
ホントに大丈夫なんかじゃない。
力はあって、英雄になれるような物だとしても、それを俺の意思で使えない。
こんなんじゃ意味なんてない。
「やっぱり、自分の住んでるところに帰りたいって思ってます?」
「…」
「あ、答えたくないのなら良いんです!すいません…」
あたふたとしたと思ったらしょんぼり床に目を落として謝罪された。
「違うんだ。よく、分からなくて…その帰りたいって思ってるのに、この世界での俺には強い力があるからそれで俺はなにかになれるかもしれないって期待してる。だからほんとに分からなくて…」
まとまらない考えをそのまま口に出して告げると少女は目を丸くした。
「ごめん、わけわからないよな」
だっておれでさえ何言ってるか分からないし。
期待してる自分も、帰りたいって思ってる自分もどれも本当だからぐちゃぐちゃなんだ。
「ふふっ人型の召喚獣なのに、他の人とは全然違うんですね!」
少女は屈託のない笑みを浮かべて俺の手を握りしめた。
「…?」
なんだろう。
「はじめまして。私は、1年魔導科学科のヒナノといいます!
困ったことがあったら私を頼ってください!力になります。貴方の名前は?」
「俺は月島流。地球出身で、それでマリナのペットかな…」
ペットって自分でいうのもすっげーむなしいところだが。
召喚獣って名乗ると仰々しいしな。
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