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マリナって子が俺の手を握りしめ、呟き始めた。
「我マリナ・エーアストはこの者ツキシマナガレの魂を縛る支配者である。
アルタトゥーム神の子孫たる支配者の血においてこの者を束縛し、永久にわが物とする」
ぼそぼそとつぶやき終えたと思ったら首が異常に熱くなり、意識は遠のいて行った。
契約とか全然いみわかんねーし…
ガタガタガタガタ
ものすごく揺れてるのは分かる。
それからなにかに包まれて体が横たわってるのもわかる。
ここで目を開けたらまた変なところにいそうで少し怖い。
つーかまじで家に帰りたい。
薄目で目を開けるがなにも分からない。
明るいってことは多分あの白い部屋から出たんだろう。
薄目のまま寝返りをうつと、あの女の子が座っていた。
「起きてるんでしょう?」
青い瞳が俺を貫く。
金糸のような長い髪に黒のブレザーのような制服。
赤いタータンチェックのスカート。女子高生っぽい赤いリボン。
さっきの変なローブ姿とは違い、まるでアメリカの学生のような恰好をしていた。
「…」
目を開けてもぞもぞと起き上がると、外が見えた。
自転車で進む程度の割とゆっくりとした速さで景色が流れていく。
馬車?みたいだな。
着ていたはずのジャージは、襟とそでにラインの入った黒いブレザーに赤のネクタイ、黒のズボンになっていた。
「おい、アンタ…」
誰だ
ここはどこだ
おれはなんで寝てた
今どこに向かってる
なんで馬車の中にベットがある
色々聞きたいことがあって、言葉がつむげない。
「ナガレって顔の割に口が悪いのね。せっかく可愛い顔してるのに勿体ないわ」
「…」
「ねえ、年はいくつなの?15歳くらい?」
「17歳だ」
予想以上に不機嫌な声で答えてしまったがそれはしょうがないだろう。
「へえ…結構幼い顔してるのにね。私と同じ年か…」
余計なお世話だ。
「聞きたいことはないの?」
マリナは手に持っていた分厚い本を閉じてこっちをまっすぐに見つめている。
「じゃあここはどこだ」
「メーアっていうところ」
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