雨音は喝采に似て

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襟元に指をかけ、張り付いたシャツの気持ち悪さをひっぱり剥がす。 釦を三つほどはずすと胸を覆う息苦しさが僅かに薄れた気がした。 けれど、それが気休めにしかならない事を僕は知っている。 もたれた窓硝子から背を浮かし、立てた片膝の上に顎を乗せて僕は僕を抱く。 もう、何も考えたくなかった。
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