始業式

2/8
前へ
/177ページ
次へ
ピピピッピピピッ 目覚まし時計の音で僕は目を覚ます。 「う~ん…」 ゆっくりとベッドから出る。 7:30 時計が今の時間を表示している。 僕は洗面所へノロノロと歩いていく。 洗面所で顔を洗い制服を着に戻る。 「今日から学校か…」 独り言をポツリと呟く。 僕はどうやらマンションで1人暮らしをしていたらしい。 なので、家族と会うことがなく安心したが― (学校がどこにあるか分からない…) 記憶を失った僕にとってみれば、高校2年(らしい)でも新入生のような気持ちだ。 (どうしよう…) とりあえず制服を着て鏡の前に立つ。 おかしなところは見当たらない。 少なくとも服装は。 ピンポーン インターホンが鳴った。 「は~い」 (朝から誰だろう?) 僕は玄関の扉を開ける。 「おはようナオ」 扉の前には幼なじみの工藤さんが立っていた。 「お、おはよう💦」 僕は驚いた。 幼なじみが朝から訪ねてくるなんて… 「今日から学校始まるね~」 「そ、そうだね💦」 「だからさ…一緒にい、行かない?」 僕は内心嬉しかった。 (道が分からなかったから助かった~) 「えっ、あっ、うん」 「な、なら待ってるからさ…」 「ちょっと待っててね」 僕は一旦ドアを閉め荷物を取る。 (幼なじみがいて助かった…) 少し失礼なような気もするが今は本当にありがたかった。 「お、お待たせ💦」 僕は玄関を出て鍵をかける。 「全然待ってないよ。さ、さあ行こうか💦」 工藤さんが歩き始め、僕はそれについて行く。 マンションを出て2人で歩いていると工藤さんが話しかけてきた。 「今日もかわいいねナオ」 僕は曖昧に笑う。 “かわいい”と言われるのには理由があった。 (僕は男なのに…)
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加