始まり

5/6
前へ
/177ページ
次へ
「無事だったみたいだね。君のおかげで無傷さ」 「そうですか」 須川さんは言葉を切った。 「それで…君はこれからどうするんだい?」 僕は笑った。 決まってるじゃないですか 「僕は黒沢直人のままでいますよ」 須川さんは一瞬驚く。 しかし、すぐに笑いかけてくれた。 「そうかい。なら、君の記憶がないことは秘密にしておこう」 須川さんはそう言って病室を後にする。 僕はその後ろ姿に心の中で“ありがとう”と呟いた。 誰もいなくなった病室で僕は決めたことがある。 それは
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加