3話~躑躅森優真のバイト~

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 「いくらデブでもこの量は食い切れないだろう…と思っているだろう?」  「…はい?」  …何言ってんのこの人?  「ふん…我輩がただのデブではない事を教えてやろう。」  「は、はぁ…。」  その男がハンバーガーの包み紙を取ると一瞬で(1秒足らず)食べてしまった。  てか…食べ方汚なっ!  小説では分かりにくいがソースが顔中にべったりくっついている。  どんな食べ方をしたらこうなるんだ!?  「どうした?まさかこの程度の早食いで怖じけついたとでも言うんじゃないだろうな?」  いや、引いてるんだよ!あんたの食べ方に!  「まぁいい…貴様など始めから眼中にないからな。」  なくて結構です。  「ご…御ゆっくり、お召し上がり下さい。」  僕は適当にあしらうとレジに戻った。  「いらっしゃっいませ~!」  戻ってちょうど客が入って来たので早く戻って正解だった。  そう思いながら角縁眼鏡とそばかすが特徴の男性客に挨拶した。  「………。」  「ご注文は何になさいますか?」  「スマイル下さい。」  本当にいるんだこういう人。  まぁ、こんな事が有ろうと毎日営業スマイルの練習をしてきたかいがあったな。  「はい。」  僕はなるべく優しい声で返事をしると顔の筋肉を緩めて控えめに微笑んだ。  「うっわ~マジキメぇ~!マッ○でもやんないだろ普通!本当やるなら鏡の前だけにしろよ~(笑)」  うざ…。  「何?何でやったの?本当で喜ぶとでも思った?そういうの正直うざいよ?」  お前がな…。  「…他にご注文は?」  「え、何?無視?無視すんの?このボクが親切に説教してんのに?ボクだって忙しいんだよ?」  嗚呼…眼鏡を割りたい…。  とりあえず落ち着け躑躅森優真。  例え相手が理不尽でむかつくけど冷静に対応しなければ…!  「とりあえず何かご不満でしたら店長を呼びますが…」  「店長に頼るの?そんなの社会で通用すると…」  「隊長!お客様がお呼びです!」  「最後までお客様の話しを聞けよ!」  いっその事、僕は店長に任せる事にした。  僕みたいな新入りのバイトよりもベテラン(?)の店長の方が対応に慣れているはず…  「承知した。後は任せておけ。」  やった!  こういう時こそ頼りになる!
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