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俺は今、バスの中に居る。
バスの中には俺と運転手しかいないため中は静寂に包まれ、かなり見晴らしが良い。
しかし俺はこういった環境はあまり好まず退屈している。
だからと言って騒がしい人混みの中を好んでいる訳ではない。
どうせなら全裸のピチピチギャルの渋滞の中で押し潰されたいぐらいだ。
…わかっている。
こんな状況が実際にバスの中で起きれば警察沙汰になる事くらい承知だ。
だが、こんな妄想だけのシチュエーションが実際にあったら嬉しいと思う気持ちは男性なら理解できるだろう?
…ちなみに女性の皆様、どうか気を悪くしないで頂きたい。
好色ではない男性など、この世に存在しないのです。
…まぁ、せめて可愛い女の子来ないかな~って期待はしてはいますが…
そんな事を考えているとバスが停車した。
誰かバスに乗るのだろう。
どれどれ…
俺と歳はあまり差のなさそうな女の子か。
髪の毛は金髪のショート、体型はスレンダーのボーイッシュ系か…って、なんか泣いてね?
「…すいません、お隣失礼します。」
「え?…ああ、どうぞ。」
…いやまて、今のかなり不自然だろ。
空いてる席なら沢山あるのに何故赤の他人の俺の所に…?
もしかして俺に一目惚れ?
しかも泣いているしチャンスじゃね?
来たしょコレ!
とうとう俺の魅力に気づく女の子が現れるなんて夢のようだ。
傷心な女の子は揺らぎやすいらしいし、アタックあるのみ!
「どうしたんすか?何か嫌な事でも…?」
「…聞いてくれるんですか?」
「えぇ…俺で良ければですけど…」
「…優しい方なんですね…。こんな得体の知れない人間に声をかけてくれるなんて…」
「トーゼンすよ!泣いている人を心配しないなんてマジ人間失格なんで。」
「あたし…貴方の隣に座って正解でした。」
やべぇっ!
今の台詞やべぇっ!
「あっ、すいません!いきなり隣に座って迷惑じゃないですかっ!?」
「全然!むしろWELCOMEですよ!」
やべ…何かテンション上がり過ぎてチャラくなってね俺?
「そうですか…。」
「と、ところで…先程なにかあったんすか?」
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