彼の存在と

2/18
前へ
/57ページ
次へ
「わ、別れた!?」 「・・・うん」 朝っぱらから教室で 驚きを隠せない顔でそう言うのは 友達の橋本千里(はしもとせんり) 高校の入学式の日、携帯のストラップが同じという ひょんなことから仲良くなった そんな千里とは今では大の仲良しで いろいろと相談しあう仲になっていた 「うんってあんた・・・、メチャクチャらぶらぶだったじゃん!」 「・・・・・・うん」 あたしは昨日 初めての彼氏に別れを告げられた 理由はわからない、ごめんという言葉と別れようとしか言われていない 告白はあたしからだったから 好きだったのはあたしだけだったのかもしれない だけど、あたしたちはそれなりにラブラブなカップルだった ファーストキスも彼だった、恋人つなぎだって自然とできた デートでは遊園地にも行ったし、彼の家では初めての経験もした あの時間はなんだったんだろうか 楽しかったのは、ドキドキしたのは、あたしだけだったのだろうか いつも「好き」と言ってくれた その言葉に「あたしは愛してる」と言って 笑い合ったりもした だから突然のことに驚きを隠せないのは、仕方がないことなのかもしれない あの時彼はどんな顔をしていたんだろうか あの時彼はどんな気持ちだったのか あの日は土砂降りの雨の日だった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加