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颯
「たっ君?産まれるの?」
空
「あぁ。みてぇだ」
颯
「ははは良かったなぁ~たっ君」
“ブゥッブウッブウッ…パカッカチッ”
今度は颯の携帯が振動を伝える。颯も空同様に着崩し首からは純銀製のシンプルなネックレス。トップにリングがぶら下がっている。
颯
「はいはい、もしも~し」
颯は受話器を耳に持って行き口を開く。左耳にはクロスの純銀製ピアスを付けている。ネックレスもピアスも空と色違いのお揃い。
〇〇
『颯ちゃん?またモデルのバイトしてくれないかな?出来れば空君と一緒に[英語]』
電話相手は世界的トップ、ブランド【black】の社長からだった。颯の小遣い稼ぎ先である。颯は幾度となく専属にと言われ続けてきている。颯の顔がひきつる。チラチラと空を見る颯。
颯
「俺だけだったら大丈夫だけど空はちょっと、はは[英語]」
颯は乾いた笑いを漏らすと空を見る。
社長【black】
『やっぱ駄目か残念[英語]』
颯
「なら直接交渉してみなよん[英語]」
颯はそう言うと空に携帯を差し出した。受話器越しから『えっちょ颯ちゃん[英語]』などと漏れている。
空
「…………」
社長【black】
『えっと空君?[英語]』
緊張した声質で恐る恐ると言った感じを漂わせる口調。
空
「あ?」
社長【black】
『えっと空君。お願い撮影に協力して。報酬弾むから[英語]』
空
「嫌だ。めんどくせぇ[英語]」
社長【black】
『そこを何とか。500……1千万…1枚1千万でお願い[英語]』
【black】の社長は1千万出しても空が出てくれれば売り上げが飛躍的に上がると考えている。流石にやり手の社長。恐らく99%当たっているだろう。
空も少し考える。
空
「やっぱ、めんどくさ[英語]」
社長【black】
『よし売り上げの30%でお願いします[英語]』
空は世界屈指のブランド【black】の社長にそこまで言わせた。売り上げの30%……恐らく億単位が空の報酬と言う事になる。
しかしブランドに疎い空には理解出来て居なかった。空は受話器を伏せ颯に問い掛けた。
空
「颯。売り上げの30%って幾らだ?」
颯
「は?ん~多分blackだったら億は行くと思うよん」
空
「そうか」
空は受話器を耳に持って行き話を続ける。
空
「そこまで言うなら条件付きでやってやる[英語]」
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