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それは、ほぼ日常化してしまったアルフレッドとの喧嘩の後の自棄酒をしようとパブにやってきて、「あの頃のアルはかわいかったのに・・・」と愚痴るところから始まった。
エール片手に物思いにふけるアーサーに近寄ってくる影があった。
「やぁ、アーサーくん」
「イヴァンか。珍しいな。ウォトカ飲みに来たのか?」
近寄ってきたのは、同じ連合の仲間であるイヴァン・ブラギンスキだ。
珍しさにアーサーが聞いてみると。
「ん?いや、今日は君に言っておかなくちゃいけないことがあって」
と、その後を妙に長く止めて、いつもと同じ笑みでさらりと、本当にあっさりとこう言った。
「アルフレッドくんは渡さないからね?」
それだけ告げると、さっさと帰ってしまうイヴァン。
(―――――――意味がわからない。)
なぜ、彼はアーサーにそう告げたのか。
・・・わからない。
しかし、全くわからないわけでもなかった。
『イヴァンは、アルフレッドが好きである。もちろん、そういう意味も含めて、だと思う。』
―――――――よくわからないが、ともかくその事実を含めると、何かしらが自分にある、ということだろう。
だが、自分に思い当たる節なんてない。
そう思ったアーサーは、「小さい頃のアルを見ているから、それに対して」だろうと推察した。
そして『栄誉ある孤立』状態と化したアーサーは、珍しくそれ以上飲む気にもならなかったので、酒を半分以上残して、しかし支払いはきちんとして帰っていった。
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