勇者召喚

2/3
前へ
/180ページ
次へ
 「勇者よ。いでよ……」  量膝をつけ、透き通るような手を重ねながら、祈りをしている少女がそう呪文のように唱える が目の前にある紋章には何も変化が起こらない。  その結果を一連の動作のように少女は確認すると、ため息混じりに悔しさを吐き出す。 「はぁ……またですか……」  尻餅をつきながら嘆くが、その嘆きは、虚しく室内に響く。  勇者召喚。  その言葉が少女の頭によぎる。  過去の書物に記された召喚の儀式の準備などは完璧 なのだが召喚できない。  自分の不甲斐なさにまた溜息を吐く。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加