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「勇者よ。いでよ……」
量膝をつけ、透き通るような手を重ねながら、祈りをしている少女がそう呪文のように唱える
が目の前にある紋章には何も変化が起こらない。
その結果を一連の動作のように少女は確認すると、ため息混じりに悔しさを吐き出す。
「はぁ……またですか……」
尻餅をつきながら嘆くが、その嘆きは、虚しく室内に響く。
勇者召喚。
その言葉が少女の頭によぎる。
過去の書物に記された召喚の儀式の準備などは完璧
なのだが召喚できない。
自分の不甲斐なさにまた溜息を吐く。
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