勇者召喚

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 だが少女は決意を堅くし立ち上がる。  そして慣れた手つきで紋章のある壇上に上がり規則的に置いてある石に、今日で最後にあるであろう魔力をそれぞれの石に籠める。  今日で最後の魔力、少女にとっては貴重な1日の魔力。  そして少女は純粋な思いを魔力でぶつける。  魔力が石に浸透していくのを感じながら少女の思いに反応するかのように紋章全体が光だす。  しかし、少女にとってはここからが本番である。  少女は手を重ね思いを言葉で形作る。 「勇者よ。いでよ!!」  自然と強くなった語尾とこれまでの失敗と国を救うためだとゆう強い思いが部屋全体を包むような錯覚にみわまれた。  だが少女の思いとは裏腹に紋章の輝きは失われていく。  その様を見ながら少女のキレイなエメラルドブルーの瞳には絶望の色が現れていた。  自分が願ったことが、彼に全ての真実を知らせる手助けをしたことを……。
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