恋人

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「もっと太れ」とか、「もっと黒くなれ」とか言われて、夏はよく海に連れていかれて一緒に串焼きの肉ばっか食ってたな。そういや。 そんで食い過ぎ・飲み過ぎで、海の家のプリクラの前で一緒にゲロったりしたよな。 俺が先に吐いて、ゴウが「やめろ」とか笑いながら、つられてもらいゲロして…… 7年も昔のことなのに、なんでこんなにはっきり覚えてるんだろ。 別れた時、ゴウは24だった。 これで少しはブッサイクになっててくれれば、ゴウの呪縛から逃れられたかもしれないのに。 前より男臭くて、カッコ良くなってるから困る。 これは、19の俺は恋愛するな。 「俺、大分オッサンになっただろ。もう31だし」 「ええやん31。つーか、ゴウの身体マジ憧れやわ。そんな風になりたいわ」 あっけらかんと両腕を広げるゴウを見て、勇希は羨ましそうに、服の上からでもわかるゴウの力強く逞しそうな腕を見ていた。
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