恋人

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俺は、ゴウの左手の薬指に光っている、シンプルな細いシルバーの指輪を見て尋ねた。 センスが良いというか、すごく厳選して買ったような、高価そうなものだった。 どう見ても結婚指輪にしか見えない。 ゴウには男がいるらしいけど、30も過ぎれば世間体を気にして、表向きは女と結婚してるゲイも少なくないからな。 男もいて、奥さんもいたら、なんかもうダブルパンチだな。俺、立ち直れるだろうか。 俺が、そんな死にそうな感じで緊張していると、ゴウはそんな俺を見ながら、自分の左手の薬指の指輪を右手で触った。 「いや」 「ああ、それ彼氏からもろたやつ?」 勇希がそう尋ねると、ゴウは少し視線を落として事務的な口調で説明した。 「まあ、30過ぎると、周りからなんやかやうるさいこと言われるからな。面倒だからしてるだけ」
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