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「……だから、昔の話しだよ」
まるで子供をあやすような感じで、隣りに座るゴウは俺のご機嫌取りをしていた。
「なんっで俺まで」
俺は、HIVがどうと言うよりは、わけのわからん男達とワッショイしていたゴウの過去が許せなくて苛々していた。
そんなとこに嫉妬したってしょうがないのに。
そんな駄々っ子のような俺を見て、呆れたような顔をしていたゴウは、大きな右手を俺の左手に重ねて、強く握りしめた。
「自分が安心したいのもあるけど……大志のこと安心させたいんだよ」
ゴウは瞼を優しく細め、大らかに俺に言い聞かせるように喋った。
ゴウの声は低く、よく通って響くから耳に残る。
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