恋人

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指にキスくらいで終わっておけばいいのに、同じ車両に人が乗ってなかったのをいいことに、次の駅に着くまでずっとゴウとチューばっかしてたな。 駅に着いて人が乗ってくると、慌てて手は離すけど、顔見てるだけで本当に幸せで、二人でニコニコしてたな。 怖! 今考えると、とんでもねえバカップルだった。 言い訳するなら。僕も大変若かったですから。19才でしたから。 なんで殺伐とした保健所に行くのに、デート気分なんだよ、俺。 「ちょ、2人の世界作り過ぎちゃう?」 勇希の焦ったツッコミで、俺は夢から覚めた。 横にいるゴウと言葉を失くして見つめ合ったまま、俺の頭は、幸せだった頃の遠い記憶に飛んでいたらしい。 「別に、作ってねえよ」
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