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そりゃーハタチくらいの俺は、「ゴウくん」「ゴウくん」でピヨピヨしてたかもしれないけど。
俺はもう、そんなヒヨッ子じゃねえぞ。
「いや、そりゃあん時は阿呆みたいに懐いてたかもしれないけど……そこかよ」
おもむろに脚を組んで背もたれに寄りかかった俺は、右指で瞼を押さえた。
自分の言いなりみたいだったから好きだったってこと?
そんなの全然嬉しくねえ。
「ちゃんと男らしいとこもあるって知ってるよ。そうじゃなきゃ付き合ってない」
真剣な声色で話すゴウの声に、俺は、瞼から指を離してゴウを見た。
「自分に愛情持ってくれる奴じゃないと、付き合えないっていうか……でもそんな奴、本当にいなかった」
テーブルに視線を落として話すゴウからは、ほとほとまいってるというか、満たされていない、空虚な感じが伝わってきた。
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