恋人

36/46
1363人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
俺は、黙って自分のスライド式の携帯を閉じた。 「……俺またきっと、ゴウのこと好きになっちゃうから」 感情が剥き出したゴウに引きずられて、俺の口からも本音が飛び出した。 俺がそう言うと、ゴウは驚いたように細い瞼を見開いていた。 未だ癒えていない古傷を晒した俺は、ゴウの瞳からゆっくりと視線を下げた。 心臓が痛い。 「……だから教えられない」 感情的になるな。 なんで泣きそうになってんだ、俺。 もっと男らしくズバッと言えよ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!