恋人

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「さっきから一体何べん携帯見とんねや」 そんな俺を見ながらコーヒーカップをテーブルの上に置き、何かに勘づいたような勇希が眉をひそめた。 「え」 「連絡来いひんの?」 勇希の言葉に主語はなかったが、誰のことを指しているかは話さなくてもわかった。 「電話してみりゃええやん。その、長ったらしく片思いしてた子に」 偉そうに腕を組み、何処か大阪のお母さんみたいな感じで喋る勇希は、おせっかいだし酷い言い様だけど、俺のことを心配してくれてるのが伝わってくる。一応。 「うん」 なんか、勇希と喋ってたら、悩む気が失せてきた。 下北のカフェはどんだけいたんだか、外がすっかり暗くなっていたが、最初に来た時と同じ居心地の良い場所に戻っていた。 ほんと。 勇希がいてくれて、良かったよ。
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