恋人

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返答に悩んだ俺は、それらしい理由を考えながら支離滅裂なことを口走ってしまった。 「メール返ってこないから、仕事忙しいのかなと思って……」 何言ってんだ、俺。 仕事忙しいと思ってんなら連絡しねえだろ、普通。 これじゃ、構ってちゃん全開じゃねえか。 マズったと思った俺だったが、隼哉は特に気にすることなく会話を進めた。 『ああ、ごめん。ちょっと仕事で栃木行ってた。向こう、すげえ寒かった』 「栃木!?」 『なんか、正月明け立て続けに色々あってな。さすがに疲れたわ』 電話の先では、外の通りを歩いているらしい、寒そうな強い風の音が聞こえてきた。
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