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なぜ10個も持っているかというと、教室に来るまでにたびたび呼び止められては「りっくんこれあげるー」といって僕の鞄に強制的に可愛らしい箱を入れていくのです。「ありがとう、嬉しい」と、お返しどうしようと思いながら返事をするのですが、「いいよいいよー。あ、お返しもいいよー」とみなさん一様にそう言って去っていくのでとても助かります。
あっという間に昼休み。自炊はまだ慣れていないので弁当はなし。食堂へ行くとしよう。
「りっくん、ちょい待って」
「あ、悠一くん、君も食堂に?」
「そうなんだよ。母さんが、あんたバイトしてるんだから、自分でなんとかしろ! だと。だから食堂行くなら一緒に行こうぜー」
川瀬悠一くんは僕の中学一年生からの友達で、以来ずっと同じクラスという奇跡的な関係の友人だ。こんなことを奇跡なんておこがましい気がするけれど、僕たちにとっては奇跡みたいなものなのです。
なかなかに広い食堂の、丸いテーブルに座り僕は唐揚げ定食を、悠一くんはあんかけチャーハンを食べていました。
「りっくん、なんであんなにチョコもらえんの? 本当謎なんだけどさ」
「うーん、なんでだろうね」
「みんな話したことのある人?」
「そうだよ、一日一回は話しているんじゃないかな」
「え、あの人たち全員と?」
「そう」
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