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「倉敷さん、ちょっと相談が――!」
「ちょいとお邪魔するよ。りんごくんが帰ってきた気がしたから来たんだけど……? どうした二人して、桃は真っ赤で、りんごくんは青い。ははっ、なんだかうまいうなぎを食った気分だ」
ここでこの図を説明しようと思う。僕と倉敷さんは正座で向かい合っており、ワンルームの玄関側から木下さんがノックもチャイムもお構いなしに、ずかずかといけしゃあしゃあと僕の部屋に入り込んできたのだ。前を見れば、赤く上気し全てを受け入れそうな雰囲気の倉敷さん。玄関のほうを見ると、もう少しで悪巧みをしている代官のようなにやつき具合の木下さん。
……ここは何か言うべきなのだろうと思いました。そう結論が出ました。
「ちょいと支離滅裂じゃあないですか木下さん。りんごは僕のことだろうけれど、どうしてりんごと呼ぶ気になったのかも疑問なんですけれどとりあえず、僕は青ざめているわけではない。倉敷さんの顔が赤いからって、僕が何かいけないことをしようとしていてその場面を見つかってしまって青ざめている、とでも言うつもりですか。断じて違います。それに、うまいうなぎを食った気分てなんなんですか。つまりは、桃が真っ赤でりんごが青い、をうまいことを言ったと言いたいのですか。申し訳ありませんが、その答えは、いいえ、言えてませんが正解です。ですから……木下さんはとりあえず出直してきてください」
「なんかごめん、りんごくん。たしは少々うなぎを食べたい気分になったからさ、うまいとうなぎが重なってしまったんだ。本当、すまないね、りんごくん。キミの言う通り、出直してくるとしよう」
「いえいえ、こちらこそまくしたててしまい申し訳ないです」
「ははっ、いいのさ。それじゃあ」
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