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木下さんはそのまま出て行きました。さあ、続きを始めよう。
「倉敷さん、相談があるんだけど、いいかな?」
「…………はっ! ちょっと精神がどこかに旅立ってました。もう一度お願いします、りーさん」
それはそれで危ない。よく帰ってきてくれました。
「相談があるんだけど、いいかなって」
「あ、はい。りーさんのお役に立てるなら私にぜひぜひ頼ってください!」
「うん。じゃあ遠慮なく言うけど――倉敷さん、抱っこして頬をすりすりして頭をなでなでしてもいいかな?」
やっと言えた。僕の記念すべき、住民へのお願い第一号だ。後でカレンダーの今日の日付に丸をしておこう。
「――! 私の方からお願いしたいぐらいです!」
きらきらとした表情の倉敷さん。なんど見ても、やっぱり可愛い。
倉敷さんに背を向かせて、僕はあぐらを組んで、その足の上に倉敷さんを引き寄せた。
「ひうっ!」
少し強引すぎたかな? ちょっとびくっとなってしまっていたけれど、すぐに落ち着いたみたいだ。僕は大きく手を広げて、とりあえずぎゅーっとしてみた。
「はうー」
空気が抜けていくみたいな、そんな声をあげてリラックスしていて、とても気持ち良さそうです。サウナから出てきたときのような心地よさが僕にはあるのかもしれない。よし、今度悠一くんに自慢しよう。
今度は倉敷さんの頬に僕の頬をあててすりすりしてみた。心なしか……。
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