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「なんだか熱いね、倉敷さんのほっぺた。熱でもあるのかな」
「しょっ! んうんっ! 小学生は熱をおびやすいものなのですよ、りーさん。そんなの常識です」
声が裏返ってしまっていた。咳払いで仕切り直して、うんちくじみたものを披露してくれたけれど、正直言ってそんなのどうでもいいです。可愛いので。
これで最後です。名残惜しい気持ちが出てきてしまう。ずっと抱きかかえていたいです。この気持ち……それは正に! ……なんでしょう? ――思い付きました。そう正に! これが保護愛!!
「最後にうんとなでさせてもらうね」
「はいっ!」
まずは倉敷さんの、背中まである長く柔らかい髪を、とかすようにすーっとなでる。続いてもみあげの髪を右耳にかけて、そのまま襟足までなでていき、束を持ち上げてさらさらと落としていく。再びとかすようになで、何度も往復し、次は両手で後ろ髪を下から持ち上げていくつかの束を作る。束と束の間を僕の指がすり抜ける。今度は前髪に触れ、さらさらと流した。
少し汗が滲んできていたような気がしたが、でも僕は止めない。止まらないのです。
僕は、頭頂部を全体的にとかすように優しくなでる。いつの間にか肩にかかっていた髪を後ろに引き寄せるときに、首元に手が触れてしまった。
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