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途端、倉敷さんの体が跳ね、びっくりした僕はのけぞってそのまま倒れてしまう。倉敷さんもつられて、僕たちは二人とも仰向けのまま被さっていた。
そのとき、玄関のドアが開いて、先ほど出て行ったはずの木下さんが現れた。
「って、なにしてんだい! 二人とも! 状況を察せず、うまいことを言っていた自分に酔いしれてにやついていたが、高校生と小学生がそんなことをしていいと思っているのかい!」
以上、時間のかかりすぎたノリつっこみでした。
「何を誇大妄想をしているんですか、木下さん。僕はただ愛でているだけですよ。この上なく可愛らしいので」
そう言っている内に倉敷さんが僕の方を向いて僕の顔まで登ってこようとしてる。ちょっとそれは止めてほしいのですが。
「りーさん、他の女性を見てはいけませんよ。私だけを見ていてください」
ああ、君がそんな年じゃなければ僕は今すぐにでも紳士的に迫るというのに。だが、今の君は娘的妹的、そして何よりペット的存在にしか見れないのです。
「桃、ダメだよ、そんなの。いくら惚れてたって、まだ間もないうちに相手を知った気になって体を預けようとしているんだとしたら、それは大間違いだ。人ってのはな、自分の本性を巧妙に隠せるヤツがいる。それで人に近付き、貶めようとするヤツがいるんだ。りんごくんがそうだとは言わないさ。だけどな、自分の惚れた相手ならなおさら、よく見なくちゃダメだ。どんなヤツなのか、ちゃんと見極めてから、愛を捧げな」
言い忘れていましたが、倉敷桃子、それが倉敷さんの本名です。木下さんは桃と呼んでいて、二人はとても仲が良い。その仲の良さは傍目から見れば確固な絆です。親子と言われても遜色ないほどに。
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