名無し荘

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 少々機嫌を損ないそうになった僕の、袖をつかむ美少女が。 「私、あなたに一目惚れです。このまま結婚式を行いましょう」  どうしたんだろう? 熱があるのかな? おでこを触ってみても熱くはない。いや、だんだん熱くなってきている。……もしかして照れているのですか……? てか一目惚れ……? 僕にも春が……!? よしっ。 「組坂さん! 早速ですが自分よりいくらか小さい体との組合のしか――をばっっ!」 「何暴走してるんだい! あんたもあんただよ! もっと男を選びなさい!」  木下さんが混乱による妄想を打ち砕いてくれた。助かった。あのままでいたら僕は、犯罪者になるところだった。 「あれ、待てよ? 僕は今高校生だから、小学生と合意のくんずほぐれつは犯罪にならないのではっ!――てっ!」 「いいからキミは落ち着きなさい!」  さっきは平手で中ぐらいの強さだったけれど、今度はグーで強めだった。これは愛のムチだ。やばい、好きになりそう。 「木下さん、僕のこと深く知ってくれませんか? そして次は貴女のことを深く――なしてっ!」  愛の言葉を囁こうとしたら軽い鈍器で殴打の嵐、はされなかったが、なかなかにエムゴコロをくすぐられるんだろうなという目をして離れていった。……今度誤解を解くために賄賂を密輸しなければ。
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