本屋と本屋で

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ーーーーーやはり、お前が黒幕だったのか。 「……ん?え、あれ!?」 嫌な予感がした。 上巻の最初のセリフで、黒幕の正体が暴かれている。 ラスボスが分かった上で読む物語なんて、誰も面白いとは言わないだろう。 まさか。 嫌な予感は当たるもので、震えた手で表紙を開き、じつくりと見てみた。 「げ、下巻……」 最悪だ。 こんなに大きく書かれているのに気づかない自分が恥ずかしい。 しかも感想文にしにくいファンタジーもの。 下巻なんか買って何を書けばよいのか。 そもそも下巻まである本をわざわざ読書感想文として選ぶ気はない。 同時に心が捻くれている俺は、本屋で俺にこの本を勧めてきた「本屋」に腹がたってきた。 たった2行読んで、方針状態にされるなんて。 最悪だ。 最悪だ。
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