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しばらくして一段落したのか、書類から顔を上げると、じっと俺の顔を見つめてくる。
仕事の邪魔をしてしまったのだろうか…、少しドキッとしてしまう。
「みんな、不安なのよ、消えた物が戻らなかったらって考えると、…酷い事も言ってしまう。」
いつもの真鍋さんとは違った感じがした、
「わかってます、…みんな戸惑ってるって事、だから今は怒りも悲しみも全部受け止めようと思ってます、…そうしないといけない気がするんです。」
でも分からない、
澪に、
軽音部に
ここまで思う自分が、ただそうしないと何かが終わってしまう気がする。
「すごいはね…。」
真鍋さんの微笑みは儚げで、まるで過去を羨む様な笑み。
その姿が、少し田井中さんと重なった気がした。
「逃げてる…だけですよ。」
隠していた弱い自分の言葉がポツリと漏れた…。
「本当に逃げてるだけなら、軽音部と関わりを持たない、…そうしないのだから、凄い事よ。」
優しく暖かな真鍋さんの言葉は、心に染み渡る様な不思議な感じがした…。
「ありがとう…ございます。」
真鍋さんは少し頬を緩めた優しい笑みを浮かべ、また書類に目を通し始めた。
そんななにげない表情にドキッとしてしまう。
…
……
………
書類整理をしていると、ポケットに入れてあった携帯電話が震える。
開て見てみると澪からのメールだった。
宛先 澪
題名 Re
本文
(T-T)
「…?。」
大体伝えたい事は理解したが、まだ約束の一時間ではないので、とりあえず励ましのメールを返す。
宛先 澪
題名 Re
本文
後20分くらいで終わるがんばれ!!
送信してからすぐに返信が返ってきた。
宛先 澪
題名 ReRe
本文
もーがんばれない…(TT-TT)
顔文字は号泣していた。
今の澪にいきなり一時間は厳しかったようだ。
(まぁ、少しずつ慣れていけばいいか。)
迎えに行くことメールで送る。
宛先 澪
題名 ReRe
本文
わかった、今から迎えに行く。
真鍋さんに事情を説明してから、教室を出ると澪からメールが届く。
宛先 澪
題名 Re
本文
(*^-^*)
「あっ、泣き止んだ…」
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