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私は、その修羅場をぼーっと眺めていた。
(別れちゃえばいいのに)
小さく、心の中で呟いた。
少なからず私は、実の"特別"になりたかった。
"特別"な、律が…邪魔だった、憎かった。
結局、別れる別れないの話にはならず、ただの痴話喧嘩で終わった。
席に戻る前に律は、私に一言残した。
「あくまで"幼なじみ"だからね?」
警告だと、目が訴えかける。
「知ってる」
言われなくても、分かってる。
手なんか出すつもり無い。
仲良く、このまま、幼なじみで、いい。
「なんか…ごめんな?」
「別にいいよー。もうちょっと気にかけてあげな?」
「あー……うん。とりあえず、今日俺んち来て?」
「ん、分かった」
頭を掻きながら呟くように頷く実。
用事っていうのは相談なのかな、と思いながら、私は頷いた。
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