好き。

3/55
前へ
/522ページ
次へ
「食べるの勿体ない」 フォークを口にくわえたままじーっと見る。 目の前にあるケーキは雪の像みたいに、崩すのが惜しいんだ。 ヤマ兄の部屋の引き戸が開かれる音がした。 そう言えば、雨音はいつの間にか聞こえなくなった。 やんだみたい。 うずうず、ベランダにでたい病が発生する。 だけど、ダメだ。 我慢しないといけない。 よし。ケーキだって食べてやる。 くわえたフォークを手にするとコツコツとガラスを叩く音がした。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2969人が本棚に入れています
本棚に追加