好き。

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「火つけんの忘れた」 突き刺したろうそくに火が灯ると、ヤマ兄の顔が暗闇に浮かんだ。 「ほら、消せ」 「……歌ってよ」 「おめでとう」 「それ、歌じゃないじゃん」 「ロウが垂れてるぞ」 「歌うのじゃ」 「嫌だ」 また顔が触れそうな距離で言われて、一気に身体の温度は上昇してしまう。 暗闇で感覚が研ぎ澄まされて、バレていません様に。 「ヤーマン殿」 はぁ、とわかりやすい溜め息。 絶対わざとだ。
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