好き。

14/55
前へ
/522ページ
次へ
あまり言いたくないのか、言葉を溜めてから言った。 「前付き合ってた子」 そう言うから、心臓がビクンとトビウオみたいにはねた。 もしかして綺麗系で、しっかりした切れ者って雰囲気の女の子かな。 「元カノ様ですか」 「うん。と言ってもすげぇ短かったけど。まあ、だから気にすんな。アサの早とちりだ」 黒い雲が心を覆う。嫉妬心剥き出しだよ。 「何で短かったの?」 「なんでもいいだろ」 「ヤマ兄、明日の朝、必殺技で起こすよ?鼻の穴に指を突っ込み……」 「はいはい。言えばいいんだろ」 面倒臭そうに言う。 「ええ。ヤマ兄の恋話を思う存分どうぞ。出逢いから別れまで」 冗談で言ったのに、じっと睨まれてしまった。肩をすくめてしまう。
/522ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2969人が本棚に入れています
本棚に追加