好き。

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「俺はないけど」 「ケーキくれたじゃん」 「時計とブレスレットとケーキってなんかな」 面白くないのか、少し不満気な声。 「どれも嬉しいよ」 「どれも?」 「うん」 「どれも同じ?」 「……うん?」 「どれも同じ位?」 「同じ位って?」 訊き返したのに、返事はなかった。 代わりに、息が届く程近くに顔があって。 だけど、息する間もなくて。 繋いだままの手は床に落ちて。 ヤマ兄の指の間にあたしの指はいて。 ただ、そっと唇が重ねあわされた。
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