好き。

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突然のことで拒むことなんか出来なかった。 息がかすかにかかって熱くなる。 離れると、夜風のヒヤリとした冷たさが唇の先を震わした。 「ヤマ兄?」 さっきまで触れてた形のいい唇は、「なんか、調子狂う」と言った。 「……えっ?」 「アサといると調子狂う」 「殿は、い……いつもとお変わりない御様子で」 「……そう見えるか?」 足元にある灰皿でタバコの火を消した。
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