好き。

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「お前、適当に言っただろ?」 「……そんなことないよ」 「いい加減、顔見ろ」 肩を掴まれて、身体を反転させられた。 その強引さにびっくりする。 慌てて俯いたのに、顎先をヤマ兄に向けさせられた。 「なんで怒ってんの、ヤマ兄?」 誤魔化そうと思って笑った。 「なんで笑いながら泣いてんだよ?」 「ろ……ろうそくの……け……煙が目に……」 指の腹で慌てて拭う。 ああ、もうこんな情けない姿、見せたくなかった。
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