素っ気ないのは。

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3人でしばらく歩くと大きな木の下にいるタカ兄がいた。 「やっと来たか」と言うと、後ろ手を得意気に前に出して見せた。 「クワガタ」と笑いながら。 「気持ち悪いよぉ」と逃げ腰になるキョウ。 「何言ってんだよ、かっこいいだろ?」 クワガタを突き付けながら、キョウを追いかけ回すタカ兄。 「あーちゃん、助けて!」 「あーあ。また、泣くな」 ヤマ兄がそれを見ながら呟いた。 「クワガタなんて可愛いじゃん!」 そう励ますと、「あーちゃーん」とまた叫んでいた。 何処まで走るのかなぁ。 夏のカンカンとした日差しにくらみそうになる。 「いいなぁ」と、ヤマ兄は少し羨ましげな声を出していた。
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