素っ気ないのは。

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それからあたしはみんなとはぐれたのか、ひとりになっていた。 だけど足取りはヤマ兄を追いかけてるみたいに走る。 森の中にいた。 足元にある大きな岩を持ちあげて下を覗いたり、 木の根元を掘ったり、まるで宝探しをしているみたいだった。 それから、大きな杉の様な木を上り始めた。 上へ上へと首を持ち上げて進む。 何故かとてもワクワクしている。 ふと足が止まった。 「いそうにないなぁ」と言うと、ようやく下を向くと飛び降りれる高さではないことに気がついた。 下りれないと、足がすくんで動けなくなる。 じりじりと太陽は上り続けていて、暑いと思った。 どの位そこにいたのだろうか。 木にしがみつくあたしの手は段々としびれてきて、 ずるずるとお尻からずり落ちて行く。 ここから落ちてしまうのかな、と思ったとき。 「あーちゃん!」って声がした。
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