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時計は20時を過ぎる。「ただいま」の声に気がついた。
ヤマ兄だった。タカ兄は今日は撮影と言ってたし、
お母さんは休みらしいけど呑みに出かけた。
たぶん、明日の朝には帰ってくるけど。
「お……お帰り」
「腹減った」
「今日ね、ロールキャベツにしてみた」
「おお」
「もう食べるかの?」
「うん」
「温めるから待ってていいよ」
目でダイニングの椅子を促すと、腰をかけた。
カウンター越しで目が合う。
今日はヤマ兄と話をしていないから、
気恥かしくなってしまうのだ。
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