わかんないよ。

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「何?」 シャーペンを持つ手が止まった。 眼鏡がずれたのか、軽く眼鏡のブリッジを押し上げた。 「あたしのこと……」 「ヤマト―!」 勢いよく、ドアがノックもなく開いた。 泣きそうなキョウがいた。 心臓がヒヤリと冷えた気持ちになる。 良かった。何もしてなくてと同時にほっとした。 「ヤマト、勉強教えて」 「はっ?」 「勉強教えろよ」 「どうした?」 「テストやばいんだよ!また赤点とったら呼び出しくらうよ!」 手には教科書や参考書の山。 キョウの焦り具合が痛いくらい伝わる。 それから、「あれ?あーちゃんもいたんだ?」と奥にいるあたしを見た。
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