わかってもらいたいんだ。

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「ああ。灰……」 「しっ」と言うと「灰高とか言わないでね、アサカちゃん。頭とか言わないでね」と、顔を思い切りしかめられた。 どうしたんだろう。 「灰高の頭って言ったらモテないと思ってるらしいわ」 カマさんが小声であたしの耳元で囁く。 「はぁ……」 「あいつ、学歴コンプレックスなのよ。灰高の頭って言ったら馬鹿の頂点って思われるのが嫌みたい」 はぁ。 だからあたしにも言わなかったのかと、今さら納得するけど。 それよりも赤ちゃん言葉を直したほうがいいのではないかと純粋に思えてならない。 他人と自分が見るとこは違うって実感。 「そう言えば、何してるんですか?」 「あっ。そうそう。バンソウコウ貰おうと思ったんだけど、保健室鍵かかってて」 人差し指を立てると、先が割れて血が出ていた。
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