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「文化祭だからお休みなんですね」
「まったく使えないわね。ヤマトも来ないし、本当、今日はいいことないわよ」
「そうですかね」
「アサカちゃんが待ってるって言ったら、あいつ来るんじゃねーの」とレンくんが携帯を開きながら言った。
「こ……く、来るわけないですよ」
「そう?電話してみよっか?」
笑顔が引きつりそうだ。
レンくん何か知ってるのか?
ヤマ兄が何か言ったのか?
いや、カマさんがいるから言わなそうだけど。
「いや、忙しいから呼ばなくていいですよ」
「そう?来ると思うけど。ヤマト、アサカちゃん大好きだもんな」
胸に刺さる言葉をサラリと言うと、「じゃあ、俺戻るから。またね」と言って昇降口の方へと向かって行った。
カマさんもバンソウコウを諦めたらしく、「うちのクラスにあとで遊びに来なさいよ。感動するわよ」って指から出た血を吸いながら去っていった。
何やるんだろう。
またカマさん主演の舞台かな。
昨日の生き生きしたカマさんの顔を思い出す。
名女優。人って化ける。
あれ。またひとりになった。
でもあの2人と回る勇気はないなぁと改めて思った。
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