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少し放心しながら歩いていたあたしを呼び戻してくれたのはサヤコの着信だった。
「もっしもーし。アサカ?何処いんの?」
「あっ……と。視聴覚室らへん」
「あっそう。もう模擬店、終わったんでしょ?」
「うん。完売したし、終わった」
「了解。じゃあ今からそっち行くから」
「あれ?彼氏は?」
「彼氏?ああ、友達と来てるからちょっと会っただけだよ」
「一緒に回るんじゃなかったの?」
「あー。いいよ」
そう言うけど、一緒に回りたいとか言ってたし。
「回ってくればいいじゃん?あたし大丈夫だよ」
「何言ってんの。どうせ暇してたんでしょ?」
「うっ……。んなことない」と語尾を濁してしまう。
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