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そんな昔のことに、ルリカはずっと縛られていたんだ。
本当に執着していたのは、きっとヤマ兄じゃない。
自分は裏切られる、とか。不幸じゃないと、愛されないとか。
たぶん、そういう感情だったのかもしれない。
「ルリカ。ずっと傷ついたままだったの?」
ハラリと前に垂れたサイドの髪の毛を邪魔なのか耳にかけた。
それから笑った。
「辛かったから?
ずっとずっと傷ついたままでいるから、変われなかったの?
……でも、ルリカ、間違ってるよ。
あたし、ルリカのことを裏切った親友でも、昔の友達でもないよ?
アサカだよ?
今の友達だよ?
なのに、なんでまた裏切られると思ったの?
守る必要なんて、本当はひとつもなかったんだよ?」
うん、と頷いた。
そんなこと、わかってるよとでも言いたいみたいに。
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