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「ルリカ……」
気が付けば、演奏がやんで、外がちょっぴり騒がしくなる。
ルリカもそれに気が付いたのか、ドアを一度見て、
誰も来ないことを確認したかのように、あたしにまた向き直った。
「アサカ、知ってるでしょ?」
「えっ?」
「あたし、嘘吐きだってこと」
今まで言った話、全部が嘘だと言いたいのかな、と思った。
あたしのこと、友達だなんて思ってないのが、本当で。
親友に傷つけられたことは嘘の話で、昔から、嘘つきな性格で。
あたしは、なにを信じる?
そう浮かんだ。
目の前にいる、ルリカを感じる。
怒り、というより解放感に包まれている気がした。
それから、声にはならなかったけど、唇がごめんって言った気がした。
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