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大きな瞳がさらに大きくなると、
「戻らないよ」
と晴々とした笑顔を向けた。
「そっか」
胸がキュッと切なくなった。
あんなに、好きなのに。
でも、ルリカが変わりたいと思ったのは今もヤマ兄のことが好きだからなんだろう。
恋は人を変えようとするから。
ああ。違うかもしれない。
恋が変えるじゃなくて、変わりたくなるのかもしれない。
変わりたい人しか変われないのだから。
自分のことを、好きになりたくなるんだと思う。恋って、きっと。
きっと、そうなんだと思う。
今年も、あたしとルリカは文化祭に来た。
だけど、オカメバンドはいなくて。
黒塗りアサカしかいなくて。
友達になった日には戻れなくて。
だけど、きっと。
友達になるときはなるんだろう。
「仕方ないか」と呟いたら、化粧直しをしてる女子に横目で睨まれた。
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