心のカケラ。

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迷った足が辿り着いたのは別館の講義室だった。 隣は生徒会室になってるけど、人の気配はなくて。 騒がしかった校舎の中に比べると、まるで無人の駅みたいに寂しげだ。 あたしと繋いでた手を離してドアを閉める。 トントンと机の間を歩いていく。 離れた手に引っ張られてたのかなと思った。 なんか力が入らない。 だからか、足元がツルンと滑ってお尻を打ってしまった。 「あだっ!」 「……何やってんだよ?」 「だって、なんかここ滑る」 手を差し延べることもなく呆れた顔をすると、 あたしの目の前でヤマ兄がしゃがんだ。
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